光線過敏症という副作用をご存じですか?
なんとなく知っている方からすると、こう思っている人が多いはずです。
湿布薬を貼ってたらなるやつでしょ?
実は内服薬でも起こります。
今回はその辺を踏まえて、見ていきたいと思います。
そもそも光線過敏症って?
光線過敏症とは
光線過敏症とは、日光によって発症する皮膚炎のことです。
通常では影響のない微量の日光であっても、皮膚が日光に対して過剰に反応する病気を光線過敏症と呼びます。
主な症状は、皮膚が赤くなる、かゆみがでる、腫れる、水ぶくれができる、などが挙げられます。
パンパンに腫れることがあるので、けっこう恐ろしい副作用だね
光線過敏症の原因
光線過敏症を引き起こす原因は
- 薬剤などの外因性
- 持病による内因性
が挙げられます。
発症頻度が高いのは、前者の『薬剤によるもの』だと言われています。
光線過敏症のよくある誤解
光線過敏症といえば、湿布薬のケトプロフェン(モーラステープ®、ミルタックスパップ®)が有名です。
青字が成分の名前、緑字が商品の名前だよ
つまり、ケトプロフェンが配合された湿布は光線過敏症になりやすいってことですね?
そうだね!
ただしこの薬が有名なせいで、誤解されてることがあるんだよ
といいますと…?
よくある誤解①
注意するのはケトプロフェン配合の湿布だけ?
確かにケトプロフェンが配合された湿布薬は光線過敏症を起こしやすいですが、その他の湿布薬にも光線過敏症が報告されています
- ジクロフェナクナトリウム
- フルルビプロフェン
- インドメタシン
- フェルビナク など
つまり、これらの成分が配合された湿布薬も、光線過敏症が起こりにくいだけで、光線過敏症を発症する可能性があるということを覚えておきましょう。
よくある誤解②
日光に注意するのは湿布薬を貼っている間だけ?
湿布薬に含まれている成分は、皮膚から吸収され血液の中に入ることで効果を示しますが、その途中で湿布薬の成分が皮膚に残ってしまいます。
血液の中に入った成分は速やかに無毒化され消失しますが、皮膚に残った成分はしばらく消失しません。
この皮膚に残った成分に紫外線が当たることで炎症反応を引き起こされます。
皮膚に残った成分が完全に消失するまでに4週間かかるとされているため、湿布を剥がした後の4週間は紫外線に当てないよう注意する必要があります。
よくある誤解③
光線過敏症が起こるのは湿布薬だけ?
実は内服薬でも起こります。
光線過敏症が起こる内服薬は多岐にわたります。
一部の
- 抗菌薬
- 痛み止め
- 降圧薬
- 糖尿病薬
- 精神系薬
など、その他にも化粧品や日焼け止め、ワクチンに含まれている添加物なども光線過敏症の原因になりえるとされています。
薬剤師は教えてくれなかったぞ!
そこまで頻繁に起こる副作用ではないから、きちんとお話をしないと教えてくれないかもね
どうしたら防げる?
今回は光線過敏症の予防方法を3つご紹介します。
濃い色の長袖服やサポーターで防ぐ
黒やネイビーなどの色調の濃い衣服は紫外線の透過率が低いとされています。
とくに湿布薬は手首や肩に貼ることが多いため、長袖服やアームカバー、UVカットスカーフなどで対策すると良いです。
日焼け止めで防ぐ
首や顔など、衣類での保護が難しい箇所には、日焼け止めで紫外線対策をすると良いです。
薬剤による光線過敏症はUVAに対して生じることが多いとされているため、PA値が高いものを選びましょう。
ただし、化学合成物である紫外線吸収剤は光線過敏症の原因になることがあるため、紫外線散乱剤のみ配合のノンケミカルな日焼け止めを使用することをオススメします。
薬剤師へ相談する
もしどうしても
という人は薬剤師へ相談することが確実です。
変更が可能な薬であれば、薬剤師から医師へ相談することが可能です。
お医者さんに相談すればいいんじゃないの?
もちろんあらかじめ相談してください!
調べて処方してくれますよ♪
ただ、薬剤師は薬の構造を見て判断することがあるので、より確実に光線過敏症を防ぐことができます。
その理由はこのあと説明しますね♪
どうして光線過敏症は起こるの?
ケトプロフェンは先ほども記載した通り、光線過敏症を引き起こしやすいとされていましたね。
ここで同じ系統の痛み止め「ロキソプロフェン」を例にして考えてみます。
実は光線過敏症は、薬の構造によって起こりやすさが変わります。
赤く囲った部分が紫外線と反応して原因物質へと変化します。この変化した原因物質にタンパクが結合することで皮膚の炎症が起こります。
新人薬剤師、薬学生の皆さまは、このベンゾフェノンの間にあるカルボニル基の非共有電子対が、紫外線によってラジカル生成することで起こる機序を覚えておくといいですよ♪
光線過敏症かも?と思ったら
まずは皮膚科へ受診し、光線過敏症かどうかの診断を受け、適切な治療を受けましょう。
治療にはステロイドの塗り薬だけではなく、抗アレルギー薬やステロイドの内服が行われることがあります。必ずお薬手帳を持参するようにしましょう。
光線過敏症と診断された場合、原因薬剤を中止する必要があります。
皮膚科医・薬剤師と相談し、原因薬剤を特定できたら、原因薬剤の処方医と相談し、薬の中止や変更を相談するようにしましょう。
原因薬剤の特定にはお薬手帳が必要だよ!
まとめ
参考文献
- 電子添文
- 医薬品・医療機器等安全性情報No.276
- 紫外線環境保健マニュアル(環境省)
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