ばぶばぶー。
キャア!!たいへん!
お薬なめちゃったの!?
す、すぐに病院に行くぞ!
小さなお子さんの場合、口周りや指先に塗った薬をなめてしまうことがありますよね。
ほんのすこーし目をはなした隙に・・・。
実は薬局で相談される内容として、とても多い質問なのです。
しかし安心してください!
基本的にはまったく影響はありません。
皮膚科の薬局では日常茶飯事です。
ただ万が一、いつもより様子がおかしいようでしたら小児科へ受診してくださいね。
1. ステロイド外用薬に含まれる「ステロイド量はかなり少ない」
小児に使用されるほとんどのステロイド外用薬は、濃度が0.1%以下で製品が作られています。
手持ちの薬を見ていただくとわかると思います。
「〇〇軟膏0.1%」など数字が書かれていませんか?
濃度が0.1%のステロイド外用薬の場合、
(白色ワセリンなどの軟膏基剤の)1g中 に
(ステロイド成分が)1mg (1/1000)しか入っていない
ということになります。
イチグラム?ミリグラム?
センブンノイチ?
数字を見ると吐き気がします・・・。
数字が苦手な人も安心してください。
1円玉硬貨はだいたい 1gなので、
1円玉硬貨の1/1000が1mgになります。
つまり、下記イラストの緑色の部分がステロイドの量だと考えてください。
こう見るととてもわずかな量ですね、ふむふむ。
そうなんです!
とてもわずかな量だからこそ、直接塗らないと効果がでないわけです。
小児に推奨されるステロイド外用薬というのは、基本的にはガイドラインに沿ってお薬が決まっています。
そのほとんどが”弱め“のお薬で処方されるので、なおさら安心です。
2. ステロイド以外の塗り薬について
ステロイド以外の塗り薬についても影響のないものばかりです。
小児に使用される塗り薬は、ステロイド外用剤の他に、
- プロペト(白色ワセリン)
- ヒルドイド系の保湿剤(ヘパリン類似物質)
- アズノール軟膏
- 亜鉛華(単)軟膏
- 非ステロイド軟膏(コレクチム、プロトピック等)
などがあります。
プロペト(白色ワセリン)はほとんど体内で吸収されずに便として排泄されます。
ヒルドイド系の保湿剤やアズノール軟膏、亜鉛華(単)軟膏、非ステロイド軟膏はステロイド軟膏と同様の理由で、作用成分がごく微量しか入っていないため安心と言えます。
ただし、食べてしまうぐらい大量に摂取した場合は下痢の原因になることがあります。
小さな子どもは、「おやつ」と勘違いして口に入れてしまうことが多いようです。
来局される患者さんの中にもたまにいらっしゃいますので、保管場所に注意してください。
うーん、今日の料理もおいしいなあ。
そういえば!
手に薬を塗ったままだったわ!
お薬を塗った手でお料理を作ってしまった!という人からも何度か相談をいただくことがありますが、直接なめても問題はありませんので、同様に影響はありません。
3. なめても影響がないからといって…
ばぶばぶー。
あらナメ太郎、また薬をなめたの?
おくすり塗らないとね~♪
ちょっと待ってください!
「なめても影響がないなら、何度塗りなおしても大丈夫!」というわけではありません!
ステロイド成分がごく微量なので体内への影響はありませんが、皮膚表面で考えると十分な量になります。
何度も塗ってしまうと、ステロイドのトータル使用量が増え、副作用を発現する可能性があります。
もしなめてしまった場合でも、30分から1時間程度塗布していれば十分お肌に吸収されていますので、決められた用法を守って使用するようにしてください。
そんなこと言われても、
少し目を離した隙になめるんだよな。
どうしてもなめってしまう場合は、
などの対策をオススメします。
頻繁になめてしまうようであれば効果減弱につながるため、処方医や薬剤師へ相談することをオススメします。
4. まとめ
塗り薬をなめる程度であれば、副作用はほとんど起こりません。
ただし、食べてしまうほど大量に摂取すると下痢などを引き起こす場合があるので、保管場所に注意してください。
また、いつもより様子がおかしいようでしたら、小児科へ受診することを検討してください。
頻繁になめてしまうようなら、何度も塗りなおさず、皮膚科医や薬剤師と相談しながら工夫して塗布しましょう!
赤ちゃんは1歳半年を過ぎるころまでは何でもなめってしまうみたいです。
上手に塗れなければ相談してくださいね♪
コメント