ステロイドは怖い薬ですよね?
来局される患者さんの中には、
ステロイド=副作用が強い=怖い薬
という印象をお持ちの方がいます。
怖くないですよ!
とはそう簡単に言えません・・・。
ほら、やっぱり・・・。
結論から先に言いますと、
副作用は完全に回避することができません。
どの薬にも共通しますが、
その薬の副作用を理解し、正しく対処することで、重篤な副作用を回避することができます。
ステロイドの塗り薬は、知っているとそこまで怖いものではありません!
1. ステロイド外用薬による代表的な副作用
皮膚が赤くなる
酒さ(しゅさ)様皮膚炎と呼ばれる副作用で、お酒を飲んだように顔が赤くなったり、ニキビのようなブツブツが出現するのが特徴です。
ステロイドの長期使用が原因となることが多いため、ステロイドの使用を中止する必要があります。
症状がひどい場合は、抗菌薬での内服・外用治療、またはレーザー治療が必要となる場合があるため必ず皮膚科へ受診してください。
皮膚感染症が起こりやすい
ステロイド外用薬を塗った部分の免疫機能が低下し、まれに皮膚感染症を引き起こします。
とくに起こりやすい感染症としては、カンジダ症や白癬(水虫やたむし)などがあります。軽度な場合を除き、抗真菌薬が処方されます。
ニキビができやすくなる
ステロイド外用薬を塗った部分の免疫機能が低下し、原因菌が増殖してニキビができます。
また、ステロイド作用によってホルモンバランスが変化することでニキビができます。
ニキビができた際は、ニキビ跡が残らないよう皮膚科へ受診し、早めに治療することをオススメします。
多毛
ステロイド作用によるホルモンバランスの変化によって、塗布部位の体毛が濃くなる場合があります。
意外に思われるかもしれませんが、多毛もステロイドの中止により徐々に改善していきます。
接触性皮膚炎
俗に言う、ステロイドによるかぶれです。
湿疹や赤み、かゆみ、腫れや水ぶくれなど、接触性皮膚炎が疑われる症状が出た場合は、皮膚科へ受診してください。
緑内障
眼の周辺へ『強いステロイド外用薬を大量に』使用することで起こる可能性があります。
『弱いステロイド外用薬を少量で』使用する分にはあまり影響はないため、眼の周辺に使用する場合は強さや使用期間に注意が必要です。
たくさん副作用がありますね・・・
これらほとんどの副作用は、
使用を中止すると症状が回復しますよ
だから副作用の早期発見が重要なんですね。
2. 全身性の副作用は起こらない
おそらく、
「ステロイド=副作用が強い=怖い薬」というイメージは全身性の副作用からきていると思います。
そういえば、ネットで調べたらこんなのが出てきました。
ステロイド薬は優れた有効性がありますが、さまざまな副作用を併せ持っています。
しかし、
ステロイドの外用薬の場合
一般的な使用方法であれば、
このような全身性の副作用は起こりません。
一般的じゃない使用方法ってなんですか?
例えば、強いランクのステロイドを「1日10g以上を広範囲に毎日塗る」ことですね。
指示通り塗っていれば大丈夫そうですね。
全身性の副作用が起こりませんので、
このような病気(糖尿病や高血圧、骨粗鬆症など)をお持ちの方や、妊娠中や授乳中の女性にもステロイド外用薬は使用できます。
ステロイド外用薬の『副作用の起こりやすさ』について知りたい方はこちらを参照してください!
3. 皮膚が黒くなる?
ステロイドの副作用といえば、この噂は有名です。
どうしてこの噂がここまで広がったのでしょう。
「ステロイドを塗ると皮膚が黒くなる」はウソです。
むしろステロイドの血管収縮作用によって白くなります。
「白くなる」よりも、「白く見える」と表現したほうが正しいですが。
じゃあなんで私は皮膚が黒くなったのよ!
それは、皮膚の炎症が長期化するとメラニンという色素が産生されるからです。
これを炎症後色素沈着と言います。
一般的に炎症後色素沈着は、時間の経過とともに自然に消えていきますが、長い日数を要します。
ですから、皮膚の炎症を早めに抑え、この炎症後色素沈着を防ぐことが大切です。
強い炎症を放置していると、メラニン色素によって皮膚がどんどん黒くなっていきます!
ステロイドと日光
「ステロイドを塗って日光に当たらない方がいい」って聞いたことあります!
それもウソですね!
ステロイド外用薬と日光(紫外線)の関係には科学的根拠はありません。
ただし、肌が黒くなった箇所にはなるべく日光が当たらないように気をつけてください。
“炎症後色素沈着”のある部分に日光が当たると、皮膚の黒ずみが目立つようになったり、消えにくくなったりすることがあります。
日光による黒ずみにも、メラニン色素が関係しています。
メラニン色素には、皮膚の細胞を紫外線から守る役割を持っています。
紫外線の刺激を肌で受けると、メラニン色素をたくさん合成して皮膚の細胞を守ります。
例えばもしも、
“炎症後色素沈着”でメラニン色素が増えたところに紫外線が当たると、皮膚の細胞を守ろうとする反応が起こり、さらにメラニン色素が合成され皮膚の黒ずみが悪化してしまいます。
強い日差しを浴びる際は、日焼け止めなどによる紫外線対策をオススメします。
お薬の中には、飲み薬であっても日光に当たると副作用が出現するものがあります!
きちんと薬局でお話を聞くようにしてくださいね。
4. まとめ
どんな薬でも、副作用を完全に回避することはできません。
大事なことは、起こりうる副作用を把握し、早期発見・早期対処することです。
これを機会に、皆さんもぜひステロイド外用薬の代表的な副作用について覚えておいてください♪
※上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。
どんなお薬にも必ず副作用は存在します。
皆さんが安心してお薬を続けるために薬剤師がいますので、いっぱい相談してくださいね。
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