だいぶ症状が落ち着いてきたな~。
てことで、もう塗らなくていいよな?
湿疹は初めてですか?
医師からは何も言われませんでした?
湿疹は何度もあるぞ?
今日も薬だけ出してもらったんだよ。
こんな質問をいただくことがあります。
理由も大して説明されないまま、毎日言われた通りお薬を塗り続けるのは大変ですよね。
治療方法や処方意図がわかると、毎日の治療に意味が出てくるはずです。
皮膚の炎症(湿疹)を改善する治療方法には、
『リアクティブ療法』と『プロアクティブ療法』があります。
1. リアクティブ療法とは
リアクティブ療法とは、
『皮膚の症状が出たらお薬を塗り、症状が改善したらお薬をやめる』
治療法です。
症状がでたら薬を塗って、治ったら止めて、症状がでたら薬を塗って、治ったら止めて・・・
薬を止めてからもしばらく湿疹がでなければ、止めて正解だったと言えますが、
皮膚の見た目やかゆみが改善しても、実は炎症が残っている場合があります。
この残った炎症が、何度も繰り返す皮膚症状の原因になります。
何度も繰り返してしまうと、症状が”慢性化”して治りにくい皮膚症状へとつながります。
自己判断で『リアクティブ療法』を選択してしまうと、かえって良くない結果へとつながってしまいます。
2. プロアクティブ療法とは
プロアクティブ療法とは、
『皮膚症状が落ち着いた後も外用薬を塗り続け、さらに改善があれば優しいお薬へ切り替えたり、塗る量や塗る回数を減らしていく』
治療法です。
なので、
炎症が強い時は強めのステロイド外用薬でガツンと炎症を抑え、炎症が落ち着いたあとは、
塗布量や塗布回数を減らしたり、弱めのステロイド外用薬や非ステロイド薬へ切り替えていきます。
非ステロイド薬というと、
- プロトピック軟膏(タクロリムス)
- コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)
- モイゼルト軟膏(ジファミラスト)
があります。
これらの非ステロイド薬は、ステロイド特有の副作用が起こらないため、ステロイド薬よりも長期で使いやすいとされています。
先ほどもお伝えしましたが、
見た目の症状が良くなっても炎症は続いている可能性があるので、落ち着いた皮膚状態をできるだけ長く保つために、お薬を塗り続けたほうが良いでしょう。
ん?ステロイドを塗り続ける?
使いたくないんだよなー。
お気持ちはわかりますが、実は・・・
プロアクティブ療法では、お薬を塗り続けるため副作用を心配される方がいます!
お薬をできるだけ使いたくないからといって、自己判断で塗ったり塗らなかったりしていると皮膚症状の悪化を繰り返してしまい、結果的にお薬の使用量が多くなってしまうので注意してください。
なので実は、
プロアクティブ療法は、しっかりと治療することで治療に使うトータルのステロイド量が少なく済むのです。
なるほど!そうなのか!
俺にはどんな治療が適しているのか、次の受診で聞いてみるとするか。
3. まとめ
皮膚の炎症を抑える治療方法は「リアクティブ療法」と「プロアクティブ療法」があります。
近年ではプロアクティブ療法が普及していますが、必ずしもどちらの治療方法が正しいというわけではありません。
『悪化時に塗り薬を塗ると良くなる人』はリアクティブ療法で十分ですし、
『頻回に悪化を繰り返す人』はプロアクティブ療法が適しています。
お薬を最小限に抑えるためには、自分に適した治療方法を理解することが重要です。
その処方意図をわかっていただければ、毎日の治療に意味が出てくると思います。
毎日の治療は大変ですが、
皮膚の病気は治療の結果がでやすいです。
一度成功体験を作ってしまえばあとは楽です。
皮膚科医や薬剤師と相談しながら、安心して外用薬を使用しましょう!
私たち薬剤師は皆さんに頼られることを人生の生きがいにしています。
ぜひとも気軽に頼ってくださいね!
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