かゆい~!!
今クスリ塗ってあげるからね。
えーと、保湿剤とステロイドっと。
・・・。
あら??
どっちを先に塗るのかしら・・・。
は、はやく~!
実はこれ、どちらが先でも間違いではありません。
ですが、とくに指示がない場合は、
保湿剤 ⇒ ステロイド外用薬
の順番で使用した方が良いです。
1. どちらが先でも間違いではない?
どうして間違いではないのでしょう?
それは、正式な決まりがないからです。
薬は通常、ガイドラインに沿って使用されます。
ガイドラインは「確かな証拠に基づき、安全で有効的な医療を提供するための情報」が文書としてまとめられています。
例えば、
『全身に赤いブツブツがでてきた人』が受診しました。
先生かゆいよ~!!
この病気は蕁麻疹ですね。
飲み薬を出しておきますね。
いえいえ、この病気は湿疹です。
塗り薬を出しておきますね。
この投与量はあってますね。
このまま服用しましょう。
この投与量は多いですね。
減量が必要です。
このように、医師同士や薬剤師同士で違うことを言われてしまうと困ります。
こうした事態を防ぐためにも、ガイドラインが必要とされています。
なるほど!
最適な医療を行うための判断基準ですね!
ところが、塗る量や塗る回数に関するガイドラインはありますが、塗る順番に関してのガイドラインはありません。
つまり、
どちらが先でも間違いではないのです。
それなら順番なんてどっちでも良いんじゃないの?
クスリの専門家にお任せください♪
薬学的知見に基づいて、考えてみましょう。
2. 保湿剤を先に塗る方法
保湿剤⇒ステロイドの順番で塗ったほうが良い理由、きちんとあるんだろうね?
ありますよ!
実はメリットしかありません。
メリット
‣副作用のリスクが少ない
⇒ ステロイド成分を正常な皮膚に広がることなく、患部だけに塗ることができる。
‣後から塗るステロイドが塗りやすい
⇒ 保湿剤を先に塗ることで皮膚が滑らかになる。
デメリット
‣考えられるデメリットはない
効果が変わらないのであれば、成分の浸透具合が多少変わるかどうかなんてどちらでも良いです。
効果は一緒ですので、
副作用なく続けることが一番です!
副作用が起こりにくい方がいいわね。
3. ステロイド外用薬を先に塗る方法
ステロイド⇒保湿剤の順番だって良い所があるんでしょ?
うーん・・・、
メリットを探すのは難しいですね。
メリット
‣考えられるメリットはない
⇒ どちらを先に塗っても効果が変わらないので、副作用が現れやすいステロイドを先に塗る必要がない。
デメリット
‣副作用のリスクが高い
⇒ 保湿剤を後から塗り広げると、ステロイド成分が正常な皮膚にも塗り広がってしまう。
⇒ 上から保湿剤を塗りこむことで、先に塗ったステロイド成分がさらに塗りこまれることになる。
じゃあ皮膚科医が「ステロイドを先に塗ってください」って指示する時はどんな時かしら?
うーん、なんとも言えませんが・・・
さまざまな書籍やブログを拝読しましたが、
が挙げられます。
これだと根拠が乏しいね・・・
4. 薬の剤形も重要
薬の剤形も順番に関係します。
剤形って何だったかしら?
剤形とは?の人のために簡単にご説明します。
塗り薬には水っぽいものや油っぽいもの、サラサラするものやベタベタするものがあります。
水っぽいもの、サラサラするもの
⇒ ローション・ゲル剤
油っぽいもの、ベタベタするもの
⇒ 軟膏剤
水と油の中間
⇒ クリーム剤
顔や身体の炎症部位に使用するステロイド外用薬は、ほとんどが軟膏・クリーム剤です。
もし保湿剤がローションタイプだった場合、
先に軟膏や油っぽいクリーム剤を塗布してしまうと、後から塗る水っぽい保湿剤の成分が患部に浸透しづらくなります。
水と油は混ざらないからですね!
さすがまなぶくん!そのとおりです!
もし万が一、
この組み合わせで処方された場合は、ローションタイプのステロイド剤を先に使用するようにしてください。
そんな処方はないと思いますが・・・
5. まとめ
2種類以上の塗り薬を使用する場合、効果や副作用、剤形などを考えて使用することが大切です。
ガイドラインで明確にされていないため、薬剤師による薬学的知見が必要です。
皮膚の治療は『継続すること』が大切ですので、治療が中断してしまわないよう副作用のリスクを減らすことが大切です。
保湿剤とステロイド外用薬を同時に使用する場合は、保湿剤⇒ステロイド外用薬の順に使用してくださいね。
ステロイド外用剤の長期使用で皮膚が薄くなりやすいです。
乾燥肌や皮膚バリアの低下につながりますので、保湿剤の使用はかなり重要ですよ♪
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